同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
澄んだ青空のもと、そんなことを考えながらしばらく歩いた先の路肩に、三台の車が止まっている。
その一台の前で、ひとりの外国人男性が大きく手を振っているのが見える。
「キョウスケ! こっち!」
派手なアロハシャツの良く似合う、明るい笑顔の白人男性。髪色はオレンジ系のブラウンで、瞳は綺麗なブルー。
旅行前に聞いていた、霞社長の別荘の管理をしてくれているという人だろう。
「彼はウィル。アメリカ人だけど日本語が達者でね。僕の別荘の管理のほかに、ガイドの仕事もしているんだ」
「みなさんハジメマシテ! ボクはウィル・ターナーといいます。歳は二十七で、独身。現在彼女ボシュウチュウです!」
社長に続いて、人懐っこい笑みを浮かべて自己紹介をしたウィル。
とてもフレンドリーな彼だけど、社長はそんな彼を諭すように言う。
「残念だけどウィル、今回フリーの女性はいないんだ」
「ええっ!? それはないよキョウスケ。……いや待って、そこのエンジェルは?」
ウィルの青い瞳がとらえたのは、大きな目をぱちくりさせる愛咲ちゃん。
なるほど、確かに彼女はフリーだわ……。なんて、ウィルのジョークにみんな笑みをこぼすけど、柏木さんだけが怖い顔をしている。
「……馬鹿言うな、愛咲はまだ嫁にやらねぇよ」