同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~


「ほらほら、そこの暇そうな人! 火をつけるの手伝って!」

「しょうがねえな……」


自分の奥さんに呼ばれて俺から離れていく背中は、セリフとは裏腹に楽しげだ。

……気合い入れて、頭にタオル巻き出したし。


「パパー! にんじん刺せた! ピーマンも!」

「おお、愛咲は料理の天才だ。なぁ愛海」

「この子、にんじんもピーマンも食べられないけどね……」

「今日は食べるもん!」


柏木一家は相変わらず愛咲ちゃんを中心に微笑ましく、まだ想像はできないがいつかはみちるとの間に子どもを持つことに憧れる。

みちるに似た娘が生まれたら、俺も柏木さんのように親バカ全開になりそうだけどな。

そんな風に周囲を観察しながら久我さんから受け取ったビールを開け、一気に半分ほどを飲み干す。

ぷは、と息を吐き見上げた先の星空は、東京よりもずっと星の数が多く宝石をちりばめたよう。

なんだか感傷的になっていると、みちるがくい、と俺の腕を引っ張った。


「じーん! 準備できたから、あっち行こう?」

「みちる。星、すげえきれい」

「星? あ、ホントだ……」


俺にならって夜空を仰ぎ見たみちる。彼女の瞳が星を映してきらめき、俺はいつしかそっちに見惚れていた。


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