箱入り娘と黒猫王子
私の手を引いて、先輩が連れてきたのは生徒会室。

入学早々…私何かやっちゃったのかな。



「どうぞ?」



ドアを開けてエスコートしてくれる先輩に追いつかない脳みそで必死についていく。

な、なんで私ここにいるのかな…。



「わぁ!!!会長!
その子ですか?!可愛いぃ〜♡」



突然抱きつかれた体は柔らかくて安心する。この声と髪の色…



「私、生徒会会計の富樫茉夏(とがしまな)です!
宜しくね!!」

「こーら、茉夏、まだ決まってないよ。」

「えー!そーなんですか?
私、この子がいいです!」



うん?何の話か全くわからない。
宜しく?決まる?この子がいい?

どーゆーこと?



「茉夏、絃晴は?」

「今呼んできます!あ、こっちどーぞっ!」


私の手を掴んだ富樫先輩が、ソファに案内してくれる。大きくてふわふわの茶色いソファには可愛いらしいブランケットが敷いてある。



「ゴメンね?うるさくて。」

「あ、いえ、」

「…さっき総会で、さ…目、合ったよね?」

「っ!!!」



え?!あれ、やっぱり私だったの??
嘘…絶対みんなを見てたんだとばかり…



「その反応、やっぱり?」

「ぁ…はぃ…」

「ふふっ、良かった!実はね、君に生徒会に入って欲しいんだ。」



…………



「はいっ!?」

「ははっ。実は今、書記が居なくてね?
うちの学校の生徒会は代々会長が任命する権限を与えられるんだけど、どうしても決まらなくて、」

「で、なんで私…?」

「ん?…いい子そうだったから、かな。
ポカーンって感じで口を開けてこっちを見てて、
ふっ…純粋そうだなって。
そういう子、探してたから。」



楽しそうに笑いながらそう話す先輩。

ポ、ポカーンとって…恥ずかしすぎる…。

て、言うか!!そんな理由で決めちゃっていいの?
もっと、希望募って面接とか…前から知ってる人とか…そーゆーのじゃなくていいの?
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