にゃおん、とお出迎え
え? もしかして、行っちゃダメなの?
これってあたしに人生相談?
何度逃げようとしても、彼女は機敏な動きで道をふさぐ。
ぶっちゃけすんごく面倒くさかったけれど、話を聞くまで帰してはもらえなさそうだったので、あたしは諦めて話を聞くことにした。
「あのねぇ。モカちゃん。わたし、去年転校してきたんだけどね」
「にゃー」
うんうん。転校って知ってるわよ。
テレビで見たわ?
皆の前で『転校生の○○です』って挨拶するヤツだよね。
「前の学校の先生が手紙くれたの。わたし、先生に酷い事言っちゃったんだけどね……」
うん?
なんか難しい話?
「先生、わたしと会えて良かったって。そんな事言えるの、すごいよねぇ」
そお?
あたしもミネちゃんと会えて良かったけど。
風が吹いて、その子のスカートがひらりと揺れて、そっちの方が気になった。
いいな、ひらひら。あたし、スカートって好きだよ?
「モカちゃんは、辛かった事ある?」
辛かったこと?
あるわよ。
ママやお姉ちゃん達と離れた時、とっても寂しくてイヤだった。
「わたし、あの学校にいた時は、色んな事がすごく辛いなーって思って。この先辛いことしかないなら、何もかも失くしちゃえって思ったくらいなのに。今、友達もできて楽しくて、そうしたらあの時の事、そんなに辛かったかなって思うようになった」
そうね。あたしもいま楽しいわよ? ミネちゃんは優しいし、面白いし。