ただあの子になりたくて


足が痛かった。

湿ったにおいの風が鼻を掠めて、頬はつっぱるほど十分に乾いていた。

それもそうだ。

自分の影も薄まるほど、空の闇はもう足元にまで降り下りていた。

あれから、どこをどう歩いたのかも思い出せないほど、街を無意識に歩き回った。

何かをしていないとまた泣きそうだった。

座り込んだらあの光景のことを考えてしまいそうで、かといって、家に帰る気にはなれなくて、そうしている間にこんなに暗くなっていた。

もとはといえば、勝手に届かない夢を見て、勝手に打ちひしがれた、私が悪いのだ。

でも、止められなかった。違う。まだ、止まってなどいない。


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