ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に
丁度いいところへメールが届いてきたと話す。
私は彼に、「副社長なんですか?」と問いただしたかっただけなのに。
「そ、そう…」
ほらもう勇気が萎んだ。
次に会ったとしても、きっと言えないかもしれない。
並んで歩く私達を道行く人々が見つめ返す。
見ないで欲しいと願っても、目立ちすぎてるから仕方ない。
(この派手な服装じゃな…)
谷口のスーツ姿はサマになってる。
私は真綾の服を着て、仮装してるからこそ横に立ててる。
(こんなの間違ってる……)
少なくともいつもの自分じゃない。
らしくない格好でないと谷口の側にも立てないんだ。
「アクアリウムってさ、幻想的なんだ。暗い中でライトアップされた水槽見るのがどことなく水族館に似てるかな」
話す谷口の声は落ち着いてる。
朝令の時に聞いた声と、やっぱり似てる気がする。
「谷口さん……」
ふわふわする頭で呼んだ。
「あっ?」
口を開けて見下ろす彼。
「貴方は………(オフィスの副社長…なんですか?)……」
ーー言えなくなって押し黙った。
やっぱり私には聞く勇気が出ない。
「なんだ?」
背を屈めて覗き込むな。
「なな、何でもない!!」
背中を伸ばして足を速める。
変なの…と呟く谷口の声がする。
それをわざと耳に入れないようにして、ヒールの音を立てて歩いた。
私は彼に、「副社長なんですか?」と問いただしたかっただけなのに。
「そ、そう…」
ほらもう勇気が萎んだ。
次に会ったとしても、きっと言えないかもしれない。
並んで歩く私達を道行く人々が見つめ返す。
見ないで欲しいと願っても、目立ちすぎてるから仕方ない。
(この派手な服装じゃな…)
谷口のスーツ姿はサマになってる。
私は真綾の服を着て、仮装してるからこそ横に立ててる。
(こんなの間違ってる……)
少なくともいつもの自分じゃない。
らしくない格好でないと谷口の側にも立てないんだ。
「アクアリウムってさ、幻想的なんだ。暗い中でライトアップされた水槽見るのがどことなく水族館に似てるかな」
話す谷口の声は落ち着いてる。
朝令の時に聞いた声と、やっぱり似てる気がする。
「谷口さん……」
ふわふわする頭で呼んだ。
「あっ?」
口を開けて見下ろす彼。
「貴方は………(オフィスの副社長…なんですか?)……」
ーー言えなくなって押し黙った。
やっぱり私には聞く勇気が出ない。
「なんだ?」
背を屈めて覗き込むな。
「なな、何でもない!!」
背中を伸ばして足を速める。
変なの…と呟く谷口の声がする。
それをわざと耳に入れないようにして、ヒールの音を立てて歩いた。