愛と音の花束を


そうして、本番の日の朝。

目が覚めて、いよいよ今日が本番だと思うと、ドキドキ・ソワソワして、胃がグルグルするこの感覚は、何年経っても慣れない。

そんな時は単純作業に限る。

軽く身支度を整えてから売り場に行き、ヴァイオリンパート全員に、ガーベラを一輪ずつ贈るためのラッピングをしていく。

何ももらえない人が出ないように、という目的もあるけれど、各個人の本番の成功を願う、私なりのおまじない。

みんなが、それぞれ、うまくいきますように。
努力が報われますように。

そうこうするうちに両親も出てきて、昨夜作って水に浸けておいた花束達を、家族総出でラッピングしていく。

慌ただしいといえば慌ただしい朝だけど、何もせずにドキドキしてるよりは、よほどましだ。


発泡スチロールの箱にそれらを詰め終え、
「今回もお世話になりました。ありがとう」
と両親に声をかけた。

「いいのよ、たくさん注文いただけるのはありがたいことです。さ、ごはんにしましょ」

2人とも照れ臭いんだろう、さっさと自宅の方に上がっていってしまった。


私がこうして趣味に時間を割けるのも、親の支えがあってこそ。

招待チケットだけじゃとても足りないけど、感謝の気持ちは忘れずにいたい。






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