愛と音の花束を



「永野、顔色悪いけど、大丈夫?」

練習室に戻ると、樋口さんが心配そうに私の顔を覗き込んできた。

店長の魔法が切れたのだ。
演奏直後から、身体が一気に重くなった。
しかも、頭にモヤがかかったように、ぼうっとなっている。
疲れに加え気が抜けたのだと思う。


「さすがに疲れたでしょ。いつもの仕事は若者に任せて、ゆっくり休んでから上がってきな」

とはいえ、三神君の代わりにコンマスの役目をしなくてはならない。

団長と一緒に指揮者控え室にお礼に伺って、エキストラにお礼。
それから楽器を片付けて、着替えたら、更衣室を出るのが最後になってしまった。



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