愛と音の花束を


ホワイエに出ると、一般のお客様はほとんど帰っていて、団員関係者が残るのみ。それでも三神君の友人知人がいるので、いつもより人数は多い。

パッと目に入ってきたのは、椎名だった。

そして、その隣に、いつか結婚式場で見た、長身の女性。
マッサージ店の店長。
前回の定演にも来ていただいた、椎名が『先生』と呼んだ初老の男性。

4人で和やかに談笑している。


ギリっと胸が傷んだ。


見たくない。咄嗟に目を逸らした。

……おめでとうって言うつもりだったのに。
さっきまで、乗り越えられると思っていたのに。
強くなりたいと思ったのに。

感じた胸の痛みがあまりに大きくて、
そんな自分にショックを受けて、
立ち尽くしてしまった。



ふと、逸らした視線の先で、盛り上がっている男性陣が目に入った。

「おー久しぶり!」「よかったよ。オケ全体が上手くなっててびっくりした」

本多さんとハグしている男性が、誰だか分かった途端。


身体が、ズシンとなった。


……幻聴じゃ、なかった。


……彼だ。


前に私が付き合っていた人。

間宮暁(まみや あきら)が、

そこに、いた。




< 240 / 340 >

この作品をシェア

pagetop