愛と音の花束を
「それとも、私の保証じゃ足りない? でも、もう結花の背中押してくれる間宮さん、いないよ」

久々にその名前をきいて、心臓がギュッとなった。

「間宮さんだったら、結花がセカンドパーリーに推された時みたいに、やるべきだ、君ならできるって言うよ」

……この子はドSな女王様だ。

「……ねぇ、結花。5年たっても、まだ、忘れられない?」

「……そういうわけじゃないけど、どうして?」

「だってずっと彼氏作らないし」

「できないものは仕方ない」

「勿体無いなぁ。誰かいないの? 仕事で、業者さんとか、商工会の人とか」

「いない」

「じゃあヴァイオリンの新しい人は?」

椎名のことか。

「イケメンの上に好青年ってきいたけど」

環奈は大きな瞳を輝かせて言った。

「誰からの情報よ」

「三神君とか他いろいろ。どうなのよ、その人とか」

「彼女いるみたいだし、苦手なタイプだし、その前にオケ内恋愛はしないって言ってるでしょ」

「………………ふぅん」

環奈は大きな瞳を細めながら、オムライスをつついた。
口元が緩んでいるのは気のせいか。

「演奏会にはスタッフとしてお手伝いに行くから、会えるの楽しみだなぁ」



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