愛と音の花束を
「今日はお店は?」

「臨時休業。そちらの歯医者さんは?」

「あはは。同じく臨時休業」

こちらはこの花束注文で1日分の売上をカバーできるけど、歯医者は1日営業しないとその分稼げないから大変だろうに。

「結花ちゃん、受付スタッフ集合ってお昼でしょ?」

「本番聴けないから、リハーサル聴きたくて」

「あ、そっか」

そんなことを話しながらホールの入り口に着くと、後ろから、「おっはよー!」と声をかけられた。
振り向くと、環奈が満面の笑みで目をキラキラさせて私達を見上げている。
なお、環奈の身長は、約150センチ。

「もしかして、新しくヴァイオリンに入った人? 初めまして、ヴァイオリンで現在育休中の白石です!」

「ああ、コンミスやられてたという。どうも、椎名です」

「椎名さんは、身長何センチですか?」

「190くらいですね」

「お年は?」

「永野さんと同じ32歳です」

私はすかさず、
「学年は1つ下だし、私この間33になったから」
と挟む。

「えええ〜っ誕生日おめでとう!」
「じゃあ私と椎名君って学年一緒かー」
「じゃあ面倒だからみんな同い年ってことで」
「今日は私が受付チーフだから、バリバリ働いてもらうよ、新入り君」
「はい、よろしくお願いします!」

何だか騒々しい組み合わせだな。


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