桜の花びら、舞い降りた
「ううん、大丈夫」
咄嗟に首を横に振る。
「でも、そんなに似てるの?」
圭吾さんが真っ直ぐこちらを向いてじっと見つめるものだから、急に気恥ずかしくなる。
その眼差しがあまりにも優しくて、胸がじんわりと熱くなった。
「よく似てる。うりふたつだよ」
圭吾さんを懐かしく感じる理由は、そこにあるのかもしれない。
私を通して美由紀さんを見ているから、その目に強い想いが込められているせいだ。
「亜子みたいのがふたりいたら大変だな」
俊さんがまた茶々を入れる。
「どう大変なのよ」
言いたいことは分かるけど、振り返って睨みを効かせる。
まぁ、そうしたところで俊さんには痛くもかゆくもないだろうけど。
それに、私とそっくりと言ったって顔だけ。
それこそ圭吾さんと美由紀さんに失礼な話だ。
「とにかく、早いところ仲直りしろよ」
俊さんは、余計なひと言まで追加した。
「仲直りって、誰かとケンカしたの?」
当然のごとく香織が身を乗り出す。
圭吾さんまで心配そうな顔をして私を見た。
両親と仲のいい香織には話してないし、知り合ったばかりの圭吾さんにだって親子喧嘩なんて恥ずかしいだけ。
「もー! 俊さんのバカ!」
私の暴言を聞いても、俊さんはケラケラと乾いた笑い声を立てるだけだった。