桜の花びら、舞い降りた
◇◇◇
圭吾さんがこちらの世界にやって来てから四日が過ぎていった。
学校帰りに俊さんのアトリエへ寄るのは日課のようになっていて、連日の私の訪問に俊さんは半分呆れ顔だった。
あれからも美由紀さんの消息はつかめないまま。
圭吾さんがあちらへ帰る手段も見つかっていない。
俊さんから釘を刺された“お母さんとの仲直り”もできずにいた。
家に帰ってもお母さんとなるべく顔を合わせないように避けている。
ただ、作っていないだろうと思っていた私の分のお弁当が毎日ちゃんと作られているのを知って、ちょっぴり心は痛んだ。
自分の家ではないけれど、アトリエのドアを開けるなり「ただいま」と声を掛ける。
すると、中にいた圭吾さんはテーブルに広げていたノートをパタンと閉じた。
「おかえり」
優しい笑顔が返される。
「俊さんは?」
「絵をたくさん持って出掛けたよ」
言われてみれば、絵が溢れていた部屋の中は閑散としていた。
絵がなくなって初めて、その広さに気がついたくらいだ。