狼な彼と赤ずきん
彼が冷たい一言を放ち、疑いの目を向けてくる。



「もちろん、彼は私を……」



――愛している。


そんな言葉、聞いていないことに気がついた。


それどころか、狼からただの一度も、「好き」と言われたことがない。


目の前が絶望で真っ暗になる。



その場に崩れ落ちた私を、アドランはしゃがみこんで抱きしめた。



「恋をしたことのないお前は、嘘の愛に騙されていただけだ。お前は悪くない。俺がこれから、本当の愛を教えてやる」



狼に実は愛されていなかったという事実があまりにもショックで、一日のうちにたくさんのことが起こりすぎて混乱していたこともあり、私は何も考えずに、彼の言葉に頷いてしまった――。
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