狼な彼と赤ずきん
「ご結婚おめでとうございます、アドラン様、アリシア様!」



街に帰ってきてから十日後、私たちの結婚式が執り行われた。


雲一つない青空が気持ちいい日だった。


しばらく森に住んでいた私には、天を突き抜けるようなこの青さよりも、日光の届かないあの森のじめじめとした薄暗さの方が落ち着くのだけれど。


アドランはこんないい日に結婚式を行えるのがとても嬉しいようだったが、正直なところ、私は彼と結婚したいとは思っていなかった。


しかし、狼に愛されていたわけではないと分かった今、仮に彼を説得して森に戻れたとしても、そこに居場所はないだろう。


かといって、教育をろくに受けていない私はこのまま街で一人で生きていくすべもない。


だから、彼の求婚を受け入れるしかなかったのだ。



ピンク色の透き通るような美しいドレスも、頭に飾られ豪華なティアラも、舞い落ちる花びらも、祝福の鐘も嬉しくない。
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