狼な彼と赤ずきん
「案内してくれてありがとう。私、ちょっと疲れてしまったみたいだから、湯浴みをして寝ようと思うわ」


侍女にそう告げ、私は湯浴みに向かった。


浴室は狼の家の何倍も広く、無駄に豪華な作りをしている。


大理石の浴槽に、すりガラスの窓。


「ガラス越しの夜景がとても綺麗でしょう」と、侍女が誇らしげに言う。


しかし、木の樽が無造作に置かれていただけの狼の浴室とはあまりに違いすぎて、かえって落ち着いて休むことができなかった。


早々に湯から上がり、髪を侍女に梳いてもらいながら大きくため息をつく。


これから夫婦生活がうまくいくとは到底思えなかった。


それでも、これで生きていけるなら……と妥協するしかないのだろうか。


私は早く休息するために、寝室へ向かった。
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