狼な彼と赤ずきん
「待ってたよ、アリシア」
寝室にはアドランがいて、私を待ち構えていた。
私は小さく悲鳴を上げて後ずさりする。
「逃げなくてもいいじゃないか、奥さん。夫婦が寝室ですることくらい、わかるだろ?」
にやりと、下卑た笑みを浮かべるアドラン。
私は、必死になって首を振って抵抗した。
狼に愛されていなかったとわかった今でも、私は彼以外に抱かれたくないと思っていた。
それだけ、彼に溺れてしまっているのだろう。
「抵抗したって無駄だ。そんな表情は、男を煽るだけだからな」
アドランは私を壁際に押し付け、迫ってくる。
私はわなわなと震え、恐怖に目を見開いた。
犯される――。
悲鳴を上げようと思った、その時だった。
「赤ずきん!!」
――寝室のガラスを割って転がり込んできたのは、耳を帽子で隠し、腰に巻いたシャツで尻尾をごまかした狼だった。