狼な彼と赤ずきん
「アリシアがお前のものだって?笑わせるな。俺は五年前からこいつと関わりがあるんだぞ」


「それを言うなら俺は十年前からだ、小僧」



火花を散らすようなにらみ合いが始まる。


今にも殴り合いの大喧嘩が起きるのではないかと私は心配したが、意外にもアドランはあっさり頷いた。



「なら、俺の負けだな。アリシアはお前にやるよ。ただし、条件がある」



「おう。言ってみろ」



「決闘をするんだ、狼。武器はなんだっていい。言っておくが、俺は警備の兵士どもほど弱くねえぞ。なんてったって、騎士団長の息子だからな」



「ふうん、騎士団長の息子ってことは、お前は剣を使うのか。じゃ、俺は素手でいかせてもらおうかな」



狼は余裕の表情を見せる。


私は信じられない思いで彼を止めた。


まだ怪我も完全に直っていないというのに、素手で剣に立ち向かおうだなんて。
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