狼な彼と赤ずきん
「駄目よ、狼さん!今度こそ死んでしまうわ!」



「赤ずきん、心配は無用だ。絶対に勝つから、見てなって」



「こんな奴の言葉に騙されるんじゃねえぞ、アリシア」



アドランが片手剣を手に取る。


狼は彼に対峙して、素手で構えた。



「うおおおおお!」



互いに突進していく二人。


アドランの剣は、まっすぐ狼の胴を狙っている。



「危ない、狼さん!」



私は思わず悲鳴を上げたが、間一髪、彼は剣をかわした。



「生ぬるいな。今度は俺の番だ……」



狼のこぶしがアドランの頭に向かう。


彼はそれを持ち手で受け止めた。



「まだまだ……」


目にも止まらぬスピードで狼は蹴りを繰り出し、それをアドランがひょいひょいと避ける。


剣はぶれることなく、狼の急所を狙ったままだ。



互角に戦う二人に、私はぽかんと口を開けて見入っていた。
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