六芒星の記憶



そしてジュリアはアズール国の城下町にたどり着いた。

小国であるアズール国は主に農業やものづくりで栄え、人と人との距離が近く、街には穏やかな雰囲気で溢れている。




旅をすることを決めたジュリアだったが、お金も持っておらず、何かを食べることも、泊まるところもない。


ジュリアはまず、働いてお金を稼がなければならない。


見える限りでも、パン屋、カフェ、レストラン、雑貨屋など本当にたくさんある。


何処で働けるのか街を歩きながら考えていると、陽気な音楽が聞こえてきた。


ギターやパーカッションが作り出すその音楽は周りを巻きこみながら演奏されている。


ジュリアはその音楽に惹きつけられるように音楽が聞こえてくる街角の一角を見ていると、ギターを弾いていた口に白いヒゲを蓄えた優しそうなおじさんと目があった。

そのおじいさんはギターを弾きながら、ジュリアの方へやってくる。

「??」

「お嬢ちゃん、おいで!」


おじいさんはジュリアの手を引いて元いた場所に戻る。


いきなり観客の真ん中に連れてこられたジュリアはどうすればわからなくて、おじいさんを見ると、

「好きなように踊ってごらん!!楽しいのが一番だ!!」


む、無茶振りすぎる…。

そうジュリアは思ったが、徐々に集まってきた観客の声援が大きくなり、その場から逃げるに逃げられない状況だ。


もうどうとでもなれ!!

と覚悟をきめたジュリアは、奏でられている音楽に合わせて踊り始めた。





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