おためしシンデレラ


莉子もすぅっと息を吸い、口を開く。

「申し訳ありませんでした。取り乱していたとはいえとんでもないことをしました」

「・・・・・とんでもないこと?」

頭上から聞こえる声に険が混ざる。

「・・・・・あんな目に・・・・・あったのも自分のせいで・・・・・社長に縋ってあんなこと・・・・・」

三村は黙っている。

「あの夜のこと・・・・・は忘れて・・・・・いただけると」

頭を抱えこまれていた手が離れて、三村の香りだけが莉子のそばに残った。


寂しいなんて思ってはいけない。


ただ動転して、身体を重ねたことに意味を探してはいけない。


「マメ、おまーーー」


ドアをノックして入ってきた穂村に三村の言葉が遮られる。


「おはようございます」


穂村が後ろに誰かを伴って入ってきた。

背は170cm足らずだろうか、肩甲骨にかかるくらいの艶やかな黒髪、彫りの深い小さな顔には睫毛の長いくっきりとした二重の瞳、高い鼻梁、ぽってりとした官能的な唇がバランスよく配置され、スタイルも見事な8等身だ。


『公私共にパートナー』だ。
< 112 / 154 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop