おためしシンデレラ


そしてあることに突然思い至った。



まさか。



そんなことある訳ないーーーーー!



気もそぞろに仕事を終えた莉子はドラッグストアに寄り、目的のものを買って一目散に家に帰る。


ちゃんと調べなければ。


きっと気の所為だと思うけど。



箱から出したキットを持ってトイレに入る。


『1分お待ちください』


そう説明書に書いてあるのに、そんな時間は不要だった。


くっきりと浮かび上がる赤紫のライン。



莉子はそっと自分のお腹に手をやる。



目眩がした。





どうしようーーーーー・・・・・。




莉子はバッグを掴み、家を出てタクシーに飛び乗った。

考えてした行動ではない。

ただ、三村に会わなければーー!その想いだけで三村の元へ急いだ。



懐かしい三村のマンションの前でタクシーを降りる。コンシェルジュは莉子を覚えてくれているだろうけど、ロビーにまで入りこんで三村を待つ勇気はない。

今日は夜の予定は何も無いはずだからそろそろ帰って来るはずだ。
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