おためしシンデレラ
ただ莉子の場合、仕事も住むところも無くしてしまう。大きくなっていくお腹で三村の側で働くわけにはいかず、今の住居は会社の借り上げ社宅だ。
それだけは痛いけれどきっと何とかなる。いざとなれば少しの間だけ実家の両親に頼ることも考える。相当怒られるだろうけどーーーー。
三村に気付かれないで退職しなければならない。方法はないわけではない。住むところも早めに手配しないとーーー。
お昼休みが終わる頃出勤したら三村は真歩と大阪の取引先に行っていた。しばらくは帰ってこないだろう。
穂村を会議室に呼び出す。
「ああ、豆田くん、病院はどうだった?」
「身体は何ともないです。ご心配をかけました」
莉子が頭を下げる。
「で、話って?」
「来月末で退職させてください」
穂村から全ての表情が抜け落ちた。
あまりの衝撃に言葉も出ないようだ。それでも努力して言葉を発する。
「や・・・・・辞めるって社長には・・・・・」
「言えないですよ、言うつもりもありません」
「いや、それは不味いよ、和生に言わないって・・・・・」