おためしシンデレラ
「直属の上司は穂村課長やないですか、退職の日まで課長が黙っててくれたらええだけの話です」
「いや、黙っとくってそれは・・・・・!」
穂村がオタオタする。
無理なことを言っている自覚は莉子にだってある。ただ三村に退職理由を問い詰められると困るのだ。
莉子がバッグからスマホを出し、画面をスクロールして1枚の写真を穂村に見せた。
「わたし、川内産業の社長秘書と大学の同級生なんです」
クラブで綺麗なオネエさんを左右に侍らして肩を抱き、ヤニ下がった穂村の写真。
「環さんに転送します?」
うっ・・・・・と詰まる穂村。
莉子の勝ちだ。
「来月中旬の社長のタイ出張の間に退職します。あと月末までは有休消化で」
それでも穂村も食い下がる。
「なんで急に退職なの?なんかあるんやったら相談にのるから・・・・・」
「結婚するんです、相手の転勤について関西を出るので」
莉子が苦しい嘘をつく。
「本当に?一条くんのことは関係なく?」