おためしシンデレラ
「そう見えますか?」
「見える。なんか吹っ切れたみたいな明るさ?みたいな」
よく見てる。
「でも顔色は悪いし、どんどん痩せていってない?」
悪阻が酷くて、とは言えないのでそんなことないですよ、と莉子が返す。
「お土産、買ってくるね。なんかボスとわたしだけ楽しんでくるみたいで悪いし」
「視察なんだしお仕事でしょ?気にしなくていいですよ」
「でも向こうで結構自由な時間もあるってボスが言ってたし」
莉子の心の隅っこがツキンと痛むけれどそれをおくびにもださない。
「だったら楽しんできてください。社長にいっぱい美味しいもの食べさせて貰ったら良いですよ」
「そうだね〜」
ごめんなさい、と心の中で謝る。
お土産を買ってきて貰っても、帰国したときには莉子はもういない。
「マメ」
「はい?」
社長室から出てきた三村が莉子を呼ぶ。
「今晩、食事どうだ?」
何度か誘われていたけれど、いつものらりくらりとかわしていた。
「何を言ってるんですか、明後日からタイですよ。荷物、まだ詰めてらっしゃらないでしょう?」