おためしシンデレラ
「豆田さん独身だっけ?」
「はい、残念ながら予定もないです」
「仕事を続けるつもりなら懐の深い男を選びなさいね、わたしみたいにシングルマザーなんてならないように」
「・・・・・はあ」
「『産め、働け、輝け』ってね、女に求められるものが多すぎるのよ。悪阻で苦しかろうが産休明けだろうが仕事に出ている以上は責任はのしかかってくるし、家に帰れば一息つけてた独身時代とちがって家事に育児に忙しい。ちょっと育児を手伝って『イクメン』ってもてはやされる男と違ってね」
「だから懐の深い男ですか?」
「そう、間違っても子供が病気の時に会社休めないって聞いた共働きの妻に『お前の仕事なんだからお前がなんとかしろよ』なんて言い返してくるような男は選んじゃダメ」
市ノ瀬の離婚の原因が垣間見えた気がした。
「肝に命じておきます」
暫く他愛のない話をしてから会議室を後にする。何となく三村に提案出来そうな考えが朧気に頭に浮かび、ちょっと調べてみるかなと決心した。