潮風とともに
室内に足を進めると、中にいた人たちが一斉にこちらに視線をよこし、万里江ただひとり、怒りを露にして立ち上がった。
「っこの!あばずれ!!!!
意地汚い!!!!何なのよ!この書面は!!
誰がこんなお金支払うもんですか!!!!!!」
万里江が親の制止を降りきろうとしながらこちらを罵った。
私は何も答えずに万里江を見据え、兄の隣へとすすんだ。
ソファーに座り、支店長に迷惑をかけたことをお詫びした。
「っちょっと!無視するんじゃねぇよ!
あんたが浮気されたのも捨てられたのも、あんたがそるだけの女だったからだろ!何で私がこんな目に合わないといけないのよ!」
まだごちゃごちゃうるさい、万里江に視線だけをよこした。
「それ以上、重田さんを侮辱するようなら、
名誉毀損で訴訟を起こすことも考えますが、いかがなさいますか?」
兄が絶対零度の視線を万里江の親へ向けると、
二人は顔を青ざめさせ、万里江を嗜めた。
「万里江、これ以上ご迷惑をかけるのは辞めなさい!
お前は重田さんに何をしたのかまだ理解していないのかっっっっ!!!!」
万里江のお父さんが、顔を真っ赤に怒らせながら万里江を叱った。
それなのにも関わらず、万里江は不貞腐れた顔をしたまま。