潮風とともに
翌朝、緊張した面持ちでスーツに身を包んだ波瑠が、洗面所の鏡の前で頭をたれていた。
不思議に思って後ろから声をかけると、
今にも泣きそうな顔をしている。
「???どうしたの。何かあった?」
「髪の毛……もともと色素薄いけど、海にずっと潜ってるからこんなに茶色くて……
しかも、切ってくるの忘れてたから長い……」
どうしよう……と頭を抱える波瑠が可愛くて、
思わずフフっと笑ってしまった。
「波瑠、大丈夫だよ。スキューバのインストラクターしてるのと、サーファーなのも言ってあるから。
髪が長いって言っても、ロン毛でボサボサな訳じゃないんだから大丈夫。」
ね?と私が髪を撫でながらいうと、
ガバッと波瑠が抱きついてきた。
「本当?だらしなくない?俺、第一印象駄目だったら辛い……」
「大丈夫。私が選んだ人をうちの家族が否定するわけがないでしょう?」
私が少し体を離して、波瑠の目をみた。
波瑠はそっと頷くと立ち上がって笑顔をみせた。
「そうだよな!!瑠碧の家族なんだから、大丈夫だよな!!!」
そう元気を取り戻し、リビングに戻ると用意をしておいたお土産を手にした。
「瑠碧、そろそろ行こう。」
波瑠は決意したように言うと玄関に向かった。
私もバッグを手にして後を追った。