潮風とともに
「お時間まで、プライベートビーチへ行かれますか?」
「はい。そのつもりです。」
そう美穂が答えると、その男性は近くにいたもう一人の男性に声をかけた。
「赤嶺!ビーチの更衣室に案内して。」
赤嶺と呼ばれた男性がこちらに気づいて歩み寄ってきた。
「分かりました。どうぞこちらです。」
そう言うとスタスタと歩いていく後ろ姿を見て、私たちは顔を見合わせてから後を追った。
更衣室に入ってビキニになると二人でビーチに繰り出した。
「ねぇさっきの案内してくれた人、イケメンやったな!
まぁ、愛想は全くなかったけどな。
うちのタイプはあのフロントの人かなー!」
「美穂、さすがのイケメン好き。」
私は呆れた顔で美穂を見つめた。
「何いうてるん!せっかく、沖縄まできてんからアバンチュールやん!」
「アバンチュールって。もう、あんまり羽目はずさんといてね?うち美穂のお父さんに怒られる。」
美穂のお父さんはお母さんが呆れるほど、美穂のことが大好きで、今まで付き合ってきたどの歴代彼氏も認めて貰えた人はいない。
「そんなんええねん!もううちかて25やし、お父さんとか関係ない!!!
そんなん、言うてへんで楽しもう!!!」
そう言ってビーチで二人はしゃいでいると、あっという間にお昼がすぎていた。
「美穂、お腹すいたしご飯食べに行こ!」