潮風とともに

「お時間まで、プライベートビーチへ行かれますか?」

「はい。そのつもりです。」

そう美穂が答えると、その男性は近くにいたもう一人の男性に声をかけた。


「赤嶺!ビーチの更衣室に案内して。」

赤嶺と呼ばれた男性がこちらに気づいて歩み寄ってきた。


「分かりました。どうぞこちらです。」

そう言うとスタスタと歩いていく後ろ姿を見て、私たちは顔を見合わせてから後を追った。


更衣室に入ってビキニになると二人でビーチに繰り出した。

「ねぇさっきの案内してくれた人、イケメンやったな!
まぁ、愛想は全くなかったけどな。
うちのタイプはあのフロントの人かなー!」


「美穂、さすがのイケメン好き。」

私は呆れた顔で美穂を見つめた。

「何いうてるん!せっかく、沖縄まできてんからアバンチュールやん!」

「アバンチュールって。もう、あんまり羽目はずさんといてね?うち美穂のお父さんに怒られる。」



美穂のお父さんはお母さんが呆れるほど、美穂のことが大好きで、今まで付き合ってきたどの歴代彼氏も認めて貰えた人はいない。

「そんなんええねん!もううちかて25やし、お父さんとか関係ない!!!
そんなん、言うてへんで楽しもう!!!」


そう言ってビーチで二人はしゃいでいると、あっという間にお昼がすぎていた。


「美穂、お腹すいたしご飯食べに行こ!」

< 29 / 236 >

この作品をシェア

pagetop