拗らせ女子に 王子様の口づけを
回りのお姉さま方から注目を集めまくっている奏輔に、声をかけるのはちょっと気が引けるが、ヨシ!と気合いをいれて奏輔の前に立つ。
「野々宮主任、お疲れさまです?」
まずは、ニコニコと目の前にいる奏輔にご挨拶。
「ククッ、なんで疑問系?」
「だって、『野々宮主任』だなんて、言いにくいんだもん。名字が特にね。奏ちゃん、おかえりなさい」
にっこにっこと最上級の笑みが溢れて止まらない沙織に周囲がざわつく。
奏輔は右手を沙織の頭にポンポンと軽く叩き、手をそのまま頭に乗せたまま覗き込むように沙織の視線に合わす。
そのとたん、キャーーーーっと声ならない掠れた声で、小さいようではっきりと悲鳴が聞こえた。
「サオ、ただいま」
いつものように、『妹』に送る優しい微笑み。気づいたときから全く変わらない私の位置は、25歳になった今も同じままだ。
「奏ちゃん、又ゆっくりお話しようね。ご飯、行こうね。じゃあ、私は仕事に戻ります。野々宮主任、失礼します」
「クククッ、、、あぁ、頑張って」
頭に乗ったままだった手が、さっきと同じようにポンポンと軽く2回叩いて、離れた。