拗らせ女子に 王子様の口づけを
三矢は私の反応を見て、満足そうに自分の席に歩いていった。
その背中を見つからないように見る。
いつもと同じようでやっぱり違う。
私はどうしたらいいんだろう。
私と三矢は元々仲はいいほうだと思う。
フロアでの接点も多いし、絡む機会も多い。だから朝のこのやり取りも私が勝手に意識しているだけで、そう特に目立ったわけでもないと思っていた。
だから私に向かう二つの視線に全く気づかなかったんだ。
だって私は今自分の事で精一杯で。
何気なしに振り向いた先には『へぇっ』と企むような、心配?するような瑞希さんの視線と、睨むように見つめる奏ちゃんの視線。
瑞希さんにはにこやかに挨拶をして、三嶋課長のデスク横に立つ久しぶりに見る奏ちゃんの顔。
条件反射のように奏ちゃんに会えると心が跳ね上がってしまう。
だけど何故か険しい顔の奏ちゃんにしゅるしゅると萎んでいく。
考えてみたらあんな風に別れたままだもんな。
いたたまれずに視線を外す。
駄目だ。
まだやっぱり好きだ。
バカみたいに好きすぎる。
ねぇ奏ちゃん。
忘れることなんて出来ません。
ちょっと機嫌が悪そうな奏ちゃん。
どんな顔でも、見れて嬉しい。
そう思ってしまう自分に悲しくなる。