拗らせ女子に 王子様の口づけを

暫くは、三矢との距離感が分からなくなって一人迷走していた。
動揺しまくる私に対して逆に少し距離を置いた三矢に私は更にパニクった。


いつもの避難場所。
もとい、会議室。

今だ巣籠もりから抜け出せずにここにいる私に仕事の話で三矢がやってきた。

椅子に座りながら三矢の話を聞く。

いつもなら、三矢もどっかりと椅子に腰を下ろして多少の軽口や憎まれ口を叩きあっていたのが日常だったはずなのに、すぐに出ていく前提で立ったままあっさりと仕事の話で切り上げていく三矢に図々しくも思ってしまう。

答えも出していないのに。

寂しい、なんて。
私はなんて甘えた奴なんだ。

そう声に出さないでも、弱冠下がる眉に三矢がデコピンを喰らわせてきた。

「ッ、タ!!な、何?急に!?」

「あのな、お前がいつまでも動揺してるから落ち着くまでは我慢してんのに、あからさまに寂しがるな!」

へっ!?

「すぐに結論を出さなくてもいい。早川には無理だって分かってる」

はっ!?

「今まで通りのが、早川は嬉しいか?」

えぇっ??

「お前が嫌じゃなければ俺も今まで通りにお前に構う。っていうか我慢しない。」

「が、我慢してたのっ!?ッ、イタッ!!」

「アホか!!」

痛い。
次はチョップが落ちてきた。
なんなのさ。

「あのね、三矢には悪いんだけどまだよく分かんないの。だけど、三矢と話すのは好き。だからちょっと寂しかった」

「なっ、」

あっ、赤くなった。

「駄目かなぁ」

「………………お前反則すぎるだろ」

なにがよ。
ため息混じりで言わなくても良いじゃない。
仕方ないじゃない。
甘やかされて来ちゃったんだから。

頭を押さえながらジト目で睨むように見上げてしまう。

三矢は呆れたように、諦めたように再びため息をつきながら視線を合わせてきた。

「とりあえず。答えなんて今は気にしなくてもいい。普通に話そうぜ」

頭をポンポンと軽く叩かれて笑ってくれた。
良かった。
少し、気が楽になった。


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