拗らせ女子に 王子様の口づけを
━side 奏輔
どうしたら良かったんだろう。
今までなら、内線で済ませていた用件を口で伝えにわざわざ設計に足を運ぶ。
あれ以来、沙織と仕事以外で話すことがなくなった。
って、言っても連絡事項の返事のみ。
しかも、あいつが会議室に籠って仕事をする為、姿すら見かけることも出来なくなった。
休み明け、沙織とどうこうする気もないくせに急かされるように朝から出向いた設計のフロア。
気づかれないように視界の端で沙織の姿を確認すると、三矢と沙織の距離が近すぎることに気が付いた。
元々仲は良すぎるくらいで。
だけど、鈍すぎる沙織の惚けた対応に安心していたはずなのに。
二人を纏う空気が、いつの間にか男女の甘い雰囲気を漂わせていた。
照れる沙織の顔。
動揺して、三矢の事を意識している事に愕然とした。
思い当たるのは梨花と沙織が飲みに行った帰り道。
事前に梨花からは聞いていたんだ。
だけど、俺が心配するのは沙織の帰り道。
どれだけ突き放しても頭から離すことなんて出来やしない沙織の存在。
一人で帰らすことなんて出来る筈もなくて、酷いと言われようと兄として送り届けるつもりだった。
梨花に駅についたら教えるように話を合わせて、ある程度時間の目星をしつけて近くで待機。