拗らせ女子に 王子様の口づけを

そこで見たものは。

腕をとり、沙織を連れ去る三矢の姿で。

胸の奥から言い様のない怒りが沸いた。
俺以外であいつを守るナイトが出来たんだ。兄として、喜ぶべき事が全く喜べなかった。

今までなら、沙織に対してまだ早い。
なんて難癖付けて切り離してきたが、すでにもう早すぎる年でも何でもなくて、逆に遅すぎる年になっていた。

認めたくないけれど、相手の男、三矢は仕事も出来て人望も厚く、他の女に調子のいいことを言うようなチャラさもなく、一途に沙織を見ていたと守屋のお墨付きで。

たぶん今までになく、理想の男。

だけど、そんなことじゃないんだよ。
気に入らない。


設計の今日の担当は三矢。
顧客との打ち合わせで、三矢と駐車場で待ち合わせた約束の時間前ににわざわざ三矢を設計まで迎えに行った。

一目だけでも、とフロアを見渡しても相変わらず沙織の姿は見えなかった。
……、三矢もいない?
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