拗らせ女子に 王子様の口づけを
ジリジリと焦がす様な胸の苛立ちが沸き上がる。

気付けば沙織の籠る会議室の前に来ていて、ドアに手を掛けたときに中から会話が聞こえた。
はっきりとは聞こえなかったが、プツリプツリと聞こえた声音はお互いを意識している甘さを含んでいるようにしか聞こえなかった。

噴き出す怒りを限界まで我慢して、ドアに手をかけた。

沙織のはっ、とした表情に俺の事を意識しているんだなんて、嫌われたわけではないんだ、とほんの少し溜飲が下がる。

それでも口から出たのは低すぎる不機嫌な声で。
沙織が萎縮するのが分かった。

どうしてこんな事になってしまったのか。
こんなに近くにいるのに、物理的な距離があった時よりも沙織が遠く感じてしまう。

沙織の事が誰よりも大事で。
何よりも大切にしてきた大事な妹。

何処で間違えたんだろう。


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