拗らせ女子に 王子様の口づけを
ーside 奏輔


数年ぶりに戻ってきた。
ここには小さいときからすぐそばで妹のように構ってきた沙織がいる。何だかんだと連絡を取っているため、会っていないのに、そんなに久しぶりな感覚ではないが、実際ちゃんと会うのはいつぶりだろうか。


4月初日は全体朝礼。
就任挨拶を無難な言葉で纏める。
ずらっと並ぶ社員達の奥の方に小さくて可愛い妹、沙織が居た。
後ろにいる男とヒソヒソ何か話している。


顔………近くないか?


朝礼後、ニコニコしながら話しかけてきた沙織に思わず笑みが漏れる。
本の少し話しただけだが周りからの視線が集まる。俺………だけじゃない?
なんだ?


軽く憎まれ口を叩く沙織の頭を軽く撫でて、仕事に戻る。


小さいときからずっと俺の後を追いかけてきた沙織。普通なら就職まで一緒だとちょっと怖いが、相手が沙織だから特に何も思わなかった。


就職が決まったと聞いたときも、素直にすげえと思っただけだった。いや、だって、大学のように行きたいと思うだけで就職まで決まらない。
どれだけ追いかけてきてても、不快に思わなかったのは、沙織の距離の取り方が上手いんだ。
それに、俺の可愛い妹だからな。

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