拗らせ女子に 王子様の口づけを



「それでね、俺の同期の女性陣は沙織と同じ部所で、もっと沙織と仲良くなりたいそうなんだ。でも、沙織は夜に余り出歩けないから、帰りも責任もって面倒を見るからって沙織を誘ってたんだよ。あまり頻繁だとみのりちゃんも心配でしょ?でもこうやって面通ししておけば、みのりちゃんも安心できるんじゃないかって、今日来て貰ったんだ」


「こんな可愛い人達が沙織と仲良くしていただけるのはありがたいですが、帰りもお願いするのはお手数じゃないですか?」


みのりの膝の上で既に寝てしまっている沙織を無視して話は進む。


「俺も面接受ける。早川と同期の三矢です」


三矢?何処かで聞いたような……


「あぁ。沙織と同期で同じ部所の三矢くん!沙織からよくお話を聞きます。沙織がいつもお世話になっております」


ニコリと笑いながら、横目で奏輔を見た。沙織から三矢の話を聞いていると聞いた奏輔の眉が少し歪む。
それだけで、三矢が沙織に好意を持っている事を知っていることがわかる。

へぇ。
さすがよく気づいたわね。


今までならば、沙織に男が近づくだけで排除してきたみのり。それは、自分のためでもあり、長年奏輔に不毛な片想いをし続けていながらも、自分に寄せる思いには無頓着な沙織に変わってみのりが守ってきていたのだ。
奏輔に誤解されたくないと、余計な男子とは特に接することもしないままこの年まで来た沙織。
だけど、そろそろ今までと同じではいけない年にもなってきた。みのりとしてはこの奏輔と沙織の曖昧な関係に決着を付けて欲しい。


ニヤリと心のなかで笑うみのり。


三矢は、背筋に冷たいものが伝うような感じがした。



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