拗らせ女子に 王子様の口づけを
今日はレストランの食事とバーがプレゼントだと思っていたから、奏ちゃんのくれた大人びたプレゼントにビックリした。
願わくば、私の妄想通り二人で過ごせたなら泣いてしまったかもしれない。
しかし落ちに落ちまくった今日の誕生日デートの後だから、嬉しい反面素直に喜べない微妙な心境を誤魔化すように、笑顔を浮かべた。
贅沢者だって分かってる。
奏ちゃんがくれた初めてのアクセサリーだ。本来なら飛び上がって喜びたい。
動揺しながら中々それを手に取ることが出来ずに眺めていると「貸して」と奏ちゃんがネックレスを付けてくれた。
肩に触れる奏ちゃんの手の温もりを感じて体が熱くなる。
やだ。
私変態みたい。
「ん、似合う。可愛いぞ沙織」
ドキドキして顔が赤くなるのが分かった。
よし決めた。
やっぱり告白する。
秦野さんに断って、この後二人になりたいって奏ちゃんにお願いしよう。
そう決めてから自分の気持ちを建て直すのは早かった。
急に緊張が走り、奏ちゃんと秦野さんとの会話も上の空でしか返事ができなかった。心臓が嫌な音をして、この後をどうやって誘うかそれだけが頭の中をぐるぐるしていた。
秦野さんの今の立ち位置も気になるところだけど、それも踏まえて今日ちゃんと聞こう。
頑張れ、私。