信愛なる君へ
「あ…、いえ、気にしないでください」
「やっぱりか」
「え?」
氷雨さんから出た言葉を聞き、顔をみる。
「あの時のカフェにいた子でしょ」
続けて出てきた言葉にまた私はびっくりした。
「覚えて…たんですか?」
「修羅場に遭遇するなんて俺はじめてだったよ」
クククッと、喉を鳴らして笑う。
「わ、忘れてください…!」
「お前のことも忘れてた方がよかった?」
「そ、それは…ちょっと、悲しいです…けど」
「………………あの時の男とは別れたのか?」
予想をしていなかった質問に思わず戸惑う。
「別れました」
「そうか、辛かったな」
そう言って氷雨さんは私の頭をゆっくりと撫でる。
「……大丈夫ですよ!」
私は少し溢れそうな涙を堪えて笑顔いっぱいにこう言った。
「あの時の彼と別れることになったから、私は氷雨さんに出逢えたんです」
…本当に、心からそう思う。