クールな御曹司と愛され政略結婚
「明日は私がどっちも出しとくね、午後から会社行くから」

「悪い、頼むな」

「滞在先が寒いところだと、荷物増えるね」



コートやらスノーブーツやら、かさばる装備が多くてたいへんだ。

「そうだな」と返事をしながら、灯がまた部屋着を脱いでいるので、「ねえ」とつい咎める口調になった。



「何度言えば聞いてくれるの?」

「お前こそ、いい加減慣れろ」

「落ち着かないの!」

「お互いさまだ、寝るのにこんなの履く必要ないだろ、脱げよ」

「きゃあ!」



ベッドの上に引き倒されたと思ったら、いきなり膝下丈のパンツを引っ張り下ろされ、悲鳴をあげてしまう。



「やめてよ!」

「俺、寝てる間もさわってたい派なんだよ、気持ちいいだろ、人の肌って」

「さぞかし手触りのいいのとさんざん一緒に寝てきたんでしょうね…」



私の冷たい声に、灯もさすがに、しまったという顔をする。



「お前だって、悪くないよ」

「そういう話をしてるんじゃないんだけど」



殊勝にフォローしようとしたのは認めるけれど、そこじゃない。

私の話も聞かず、結局いつも通りにボクサーパンツ一枚になった灯は、ベッドに上がり布団に入ってタブレットをいじりはじめる。

仕事が仕事なのもあって、灯は映画や動画を見るのが好きだ。

忙しいとなかなか動向のチェックも難しくなる中、一日のうちで必ず時間をとって、他社の作品や流行のものに目を通している。



「このメイキングの唯、何度見ても笑える」

「やめてよもう、吉岡さんにも笑われた」
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