クールな御曹司と愛され政略結婚
私はふたつのスーツケースを寝室の隅に寄せてから、パンツを履き直して灯の隣に潜り込んだ。
カットされるとばかり思っていた、私がカメラに頭突きするシーンが、まさかの採用となったのだ。
にやっと笑って、炎天下でぴかぴか光るおでこを突き出している様は、滑稽以外の何物でもなく、スタッフ全員の爆笑を生んだ。
「いいけどね、みんなが楽しんでくれるなら」
「お前、仕事場でもいい具合にくだけてきたよな、よかった」
うつぶせの灯が、私を片腕で抱き寄せてくれる。
やっぱり、気にしていてくれたんだな。
「お姉ちゃんに、もう近づかないよって言われたのって、いつ?」
「なんだ、急に?」
「いいから、いつ?」
うーんと髪に手を突っ込んで考えている。
「大学、2年か3年あたりかなあ…向こうもまだ学生だったと思うから」
やっぱり。
姉はおそらく、私が灯のことを、本気で好きになってしまったことに気づいたから、灯で遊ぶのをやめたのだ。
まったくもう、私はなにもかも、姉にお膳立てしてもらって生きている。
「なんだ?」
「なんでもない」
「要子と仲よくしてやれよ、あいつ、唯に悪い影響が出ないようにって、お前をかまうの、昔からすごく我慢してたんだぜ」
「え?」
灯が枕に頬杖をついて、こちらを見る。
「お前は素直だったから、自分が近づきすぎて感化しちゃまずいって」
「…お姉ちゃんって、そんなに悪かったの?」
「まあ、けっこうあれこれやってた。自分が異質なのを、自覚してたんだろうな」
カットされるとばかり思っていた、私がカメラに頭突きするシーンが、まさかの採用となったのだ。
にやっと笑って、炎天下でぴかぴか光るおでこを突き出している様は、滑稽以外の何物でもなく、スタッフ全員の爆笑を生んだ。
「いいけどね、みんなが楽しんでくれるなら」
「お前、仕事場でもいい具合にくだけてきたよな、よかった」
うつぶせの灯が、私を片腕で抱き寄せてくれる。
やっぱり、気にしていてくれたんだな。
「お姉ちゃんに、もう近づかないよって言われたのって、いつ?」
「なんだ、急に?」
「いいから、いつ?」
うーんと髪に手を突っ込んで考えている。
「大学、2年か3年あたりかなあ…向こうもまだ学生だったと思うから」
やっぱり。
姉はおそらく、私が灯のことを、本気で好きになってしまったことに気づいたから、灯で遊ぶのをやめたのだ。
まったくもう、私はなにもかも、姉にお膳立てしてもらって生きている。
「なんだ?」
「なんでもない」
「要子と仲よくしてやれよ、あいつ、唯に悪い影響が出ないようにって、お前をかまうの、昔からすごく我慢してたんだぜ」
「え?」
灯が枕に頬杖をついて、こちらを見る。
「お前は素直だったから、自分が近づきすぎて感化しちゃまずいって」
「…お姉ちゃんって、そんなに悪かったの?」
「まあ、けっこうあれこれやってた。自分が異質なのを、自覚してたんだろうな」