クールな御曹司と愛され政略結婚
昨日あまり寝かせてもらえなかったせいで、寝不足だ。

よかった、今日はなにもなく寝られるんだ、と安心してうずくまったところを、ぐるっと身体を仰向けに返されて、気づけばのしかかられていた。

オレンジの、抑えた照明の中、あきれ顔で見下ろされる。



「なにがおやすみだ」

「だって、寝ようって…」

「本気にとるなよ」



耳や首筋に、これでもかとキスが降り、ところどころでびくりと身体が跳ねる。

着ていたTシャツとキャミソールを脱がせながら、灯がぶつぶつ言っている。



「最初っから脱いどきゃ、こんな手間省けるのに…2枚とか、バカなのか」

「つつましいって言ってよ」

「俺はベッドで相手につつましさなんか求めない」



そうですか…。

私を裸に剥いてしまうと、ふうと息をついて、灯がじっと抱きしめてくる。

よくこうしているので、人肌が好きなのは、本当なんだろう。



「確かに眠いな」

「だから言ってるのに」

「ゆっくりしよう」



言葉の通り、唇と手が、ゆっくりゆっくり、身体の上を這う。

これ、かえって寝ちゃうんじゃないかな。



「新婚旅行、どこをプレゼントしてもらう?」

「うーん…悩ましいな」

「撮影で行って、プライベートでも来たいって思った国、どこだった?」

「北欧かな」



濡れた音を立てて、鎖骨の間のペンダントトップに、灯がキスをした。

その祈るような、妙に敬虔なキスに、あ、これ意味を知っているな、と思った。

ぎゅっと灯の頭を抱きしめる。

もしかしたら、過去の相手にねだられたことがあるとかいう理由かもしれないので、今は聞かないでおく。
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