クールな御曹司と愛され政略結婚
「北欧かあ、いいね」

「街もいいけど、オーロラもよかった。仕事離れてまた見たいと思ったよ」

「オーロラの撮影したんだ?」

「新米のときな。ひたすら待ったのに、ほとんど見るひまなくて」

「じゃ、リベンジしよう」

「候補に入れとくくらいでいいよ」



上から順繰りに私の身体をたどっていく灯の声が、だんだん甘くなってくるのをくすぐったく聞いていると、腿のつけねを噛まれて、びくっとした。



「ここもだな」

「もうやだ、そういうの…」

「なんで?」

「自分がコントロールできないの、怖い」



灯が身体を起こし、顔の見える位置まで上がってくる。

すでに軽く息の上がっていた私は、それが恥ずかしくて顔をそむけた。

灯がそっと顔をなでて、頬にキスをくれる。

いたわるような仕草に、こわごわ視線を戻すと、にこりと微笑む優しい顔。



「怖くないよ」

「怖いよ…」

「俺がいるだろ。怖がることなんてない」



灯って、昔からそうだよね。

自信家で頼もしくて優しくて、よくわからないまま私は、全部を預けてしまう。


でも絶対に、けがするような場所には私を連れていかなかったね。

危ないことも、いけないことも、私がしているのを見つけると怒ってくれたね。

私は記憶もあいまいなくらいの遠い昔から、誰よりも灯を信じて育った。


眠気にとってかわった感覚が、身体の奥をうずかせる。

どこかにそれを逃がしたくて、掴まる場所を探すと、「腕はやめろよ」と笑って、シーツの上をさまよっていた手を握ってくれた。

私も笑った。

汗の浮いた、熱っぽい灯の身体。
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