恋色流星群
瞬間。
終わった、と思った。
大きな肩に載せた、不釣り合いなほど小さな頭。
シャツの襟から覗く、首筋のほくろ。
笑うと、大きく下がる目尻と。深く刻まれる、笑い皺。
私の名前を呼ぶアクセント。
私の瞳を覗くような、仕草に。
鼻の頭を掻く、癖。
どれも、あれほど毎日欲しかったのに。
与えられても、与えられても。
私は、あの人が欲しかったのに。
見慣れた景色を、私はただ見送った。
掴まなければ、それは簡単に。
さらさらと、指の隙間を抜けていった。
終わって、しまった。
憤りと、後悔と、恐怖と。
三年間私を支えた、翔さんへの衝動と。
その全てから、解放された気がした。
やっと、私は。
あんなに、愛した記憶を。
終える、ことができた。