恋色流星群



突然、襲ってきた言葉にできない感情に。

膝から、崩れ堕ちる。









ボロボロと、頬を伝う生温かい感触に。

喉の、灼けつくような痛みに。



泣いているんだろう、と思う。








だけど、もうそれが。


現実で泣いているのか、これは幻想で本当はただ座り込んでいるだけなのか。

それさえも分からないほど、音も色もない。








終わりは。

受け入れた時に初めて、完全になるのだと知った。








あの朝、翔さんが置いていった自由には。

あまりにも大きな孤独が寄り添っていて、私は手を出すのが怖かった。









だけど、三年の月日の中で私は。

いつの間にか、その自由の中で、孤独を解釈して生きるようになったのに。

そんな自分に気づかないふりをして、いつまでも悲しみに縋ろうとしていた。











愛された記憶に。

狭い世界に、いつまでも縋り付いていたのは。







誰でもない、私だ。













目の前の愛した人に、手を伸ばさない自分に。

目の前の愛した人の言葉を、ただぼんやり眺めるだけの自分に。



終わりが来たことを、見せつけられた。












身体中から。

手放せなかった痛みが、抜けていく。











































陽「一人にさせないって、言ったろ。」








瞬間、

耳にかかる、熱く濡れた息と。




視界を覆う、黒とBVLGARIの香りが。

私を現実に引き戻す。












陽「すぐ呼べって、言ったのに。」









私の頭を胸に押し付けて。

痛いほど抱き締める腕の強さが、私を過去から取り返す。













早送りで、春が来るように。

白黒の世界に、たちまち色が戻ってくる。












音の無い、スローモーションが終わる。

















やっと、私は。




自分の泣き声が、聞こえた。




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