恋色流星群
サラッとした白地に、薄いシルバーのストライプ。
完璧に、着心地の良さそうなシャツに。
ぼたぼたと残る、私のリップやチークの朱。
粉々に散った、マスカラのかすも。
爪で引っ掻けば、溶けてシミになりそうで躊躇われた。
『ほんとごめん・・・。汗』
「いいって。笑
はい、飲んで。」
差し出された、ペットボトルに。
言われるがまま、口をつける。
喉を流れ落ちる、冷たい水が。
灼けた喉を冷やすのに。
私が返したペットボトルに、当たり前に唇をつけて。
喉の動きで、目に見えて身体に流れ落ちていく水と。少し伏せた瞳を縁取る、長い睫毛に。
また、喉が疼く。
ソファで、背もたれに倒れる陽斗くんの膝に。
私はソファサイドに背を預け、真横から交差するように、デニムに通した足を載せる。
「体勢、きつくない?」
『大丈夫。』
___________むしろ、なんか気持ちいい。
頬を倒して、背もたれから彼を見上げたら。
包み込むように、笑った。
キッチンで大声で泣き続ける、私を。
陽斗くんは、一瞬もその手を緩めることなく、固く抱き締めていた。
彼が私を、強く抱けば、抱くほど。
身体に残っていた、霞のような痛みも。
押し出されて、消えていくようだった。
私の狂ったような嗚咽が、小さなしゃっくりに変わり始めた頃。
陽斗くんは、軽々と私を抱き上げて。
自分と一緒に、私をソファへ下ろした。
何も、聞かれないから。
何も、言葉を発しないまま、彼の横顔を見上げるだけの時間が続いて。
敵意とか、嫉妬とか。
時折剥き出しにされる、彼の感情は。
一瞬でも触れれば、この身体なんて簡単に焼きつくされるんじゃないかと思うほど、熱いのに。
事が終われば、この人は本当に穏やかだな。
嵐のような激しさと。
陽だまりのような温かさ。
その狭間に立たされる興奮と、心地良さを。
存分に、味あわされてしまったな。