恋色流星群
『わ、あまっ!』
「わー、やばい。」
いつもの熱を出した夜とは、少しズレた位置。
両瞼の上を、冷えたアイスノンで覆ってもらった、私は。
「なんかこうしてると、小鳥に餌やってるみたいだな。」
視界を失ったことを理由に、陽斗くんに桜桃を唇まで運んでもらう始末。
『だから、自分で食べれるってばっ・・・、』
彼の指先の気配を感じたら、唇を薄く開く。
その隙間から、放り込まれる甘い蜜の味。
くすぐったすぎる、この動作に。
散々、抵抗を見せたのに。
「いいから。はい。」
“開けて”とでも、伝えるように。
唇に感じた彼の指先に、私はまた大人しく従ってしまう。
『・・・美味しい。』
「ね。笑」
目を開けなくても。
今、彼がどんな表情なのか分かる気がする。
何だか、前にも。
彼にこうして、果物を食べさせてもらったことがあった。
お父さんみたい、と喜んだ私に。
彼氏になりたいのに、と笑った彼。
もう、随分遠くにも感じる。
初めて、好きだと言ってもらった
あの日のこと。
あの朝焼けの色を、私はまだ覚えてる。