待ち合わせはあのカフェで
声かけるたび、笑顔で話してくれる。
お店に来てるって気づくと必ず神谷さんから声かけてくれる。
あのカフェが好きで行ってるってのもあるけど
一番の理由は神谷さんに会いたいから。
「すいません。いただきます」
神谷さんからケーキの箱を受け取った。
「お店で作ってるケーキって神谷さんが作ってるんですか?」
「キッチンの製菓学校卒業した女の子が作ってます」
「そうなんですね!俺、ここのケーキ大好きなんです」
「私も、大好きです。美味しいですよね、一口食べるだけで元気になる」
「そう!そうなんですよ!!もうスクールの帰りにケーキ食べると疲れが一気にふっとぶ」
くすっと神谷さんが笑う。
俺、そんなにおかしい事言ったっけ…?
「うちの店、本当に好きなんですね」
「伝わってます?」
「もちろん、伝わってます」
心の中でガッツポーズ。
お店が好きって気持ちが神谷さんに伝わって普通に嬉しい。
「お店で働いてどれぐらいですか?」
「一年半ちょいぐらいですかね。知り合いに誘われて」
「知り合いって、お友達ですか?」
「いや、お兄ちゃんみたいな存在の年上の方です」
神谷さんと仲良さそうに話してる男の人居たっけ…
見た事ない気がする。
「その人前ダンスやってて。すっごく楽しそうに踊ってたのに急にダンス辞めちゃって」
「え、その人今度紹介してください!」
あ、ダンスって言葉出てきて思わずがっついちゃった。
ひかれた…?と思ったけど、心配する必要はなかった。
「涼太君の事、お話ししときますね!」
笑顔でそう答えてくれた。
単純に嬉しかった。