声にできない“アイシテル”

校舎裏 SIDE:チカ

―――どうして、私はこの人たちに呼び出されたんだろう。




 帰ろうとして校門に向かって歩いていたら、名前を呼ばれて。

 振り返ると、何人かの先輩たちがいた。


―――この人たち誰?
   3年生ってことは分かるけど・・・。



「話があるの。
 一緒に来て」

 髪の長い先輩がそう言うと、私の横にいた人がグイッと私の腕を引っ張る。


―――いたっ。

 私が痛みに顔をしかめても、つかむ力は緩まない。



 放してほしくても言葉にはならないし。

 腕をつかまれているから、メモに字を書くことも出来ない。



―――いったい何?
   私、どうなるの?


 無言で歩く先輩たちが怖くて、怖くて。


 つかまれた腕が痛かったけど、私はおとなしくついていった。

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