イケメン貴公子のとろけるキス
◇◇◇
長いようで短い一週間が過ぎ、ルカが異動してくる十一月一日はやって来てしまった。
ここ数日は眠れない日が続くという、とんだ副作用が私には訪れていた。
その中でも、今朝はもっとも眠れない日のダントツ一位だ。
明け方までベッドの中でモゾモゾと動き回り、午前五時には眠ることを諦めて起きてしまった。
つまり、一睡もしていない。
部署の中で誰よりも早く出勤して、濃い目に淹れたコーヒーを三杯も飲んだ。
おかげで胃がちょっと調子悪い。
午前八時を過ぎるとパラパラとメンバーが出勤し始め、小夜さんがやって来た頃には、部署内の面子がほぼ揃っていた。
ルカは、まだ来ていない。
あと数分もすれば、ここにルカが……。
その姿を想像しただけで緊張に震えた。
いつものようにみんなが仕事を始める。
私はひとり、なにも手につかず、ただ仕事をしているフリのようにパソコンのディスプレイを凝視していた。
不意に企画開発部のドアが開き、そこから部長が入って来る。
そのうしろに続く人影を察知して、目を逸らした。
心臓がドクンドクンと音を立て始める。
全身が心臓にでもなったみたいだった。
「ちょっといいかな」
部長が部署内のみんなに声を掛ける。